名匠・成瀬巳喜男 名画特集

「小津安二郎は二人いらない」といわれ、小津、黒澤ほどは脚光を浴びることのなかったという成瀬巳喜男作品全24本が、東銀座シネパトスで一挙公開ということで、全く映画に疎いわたしなのだが、勧められるままに行ってきた。

朝10時から2本立てで4時間。昭和の時代にどっぷりと浸かって来た。

作品は、「女が階段を上るとき」と、「女の座」。どちらも白黒で、それぞれ1960年と62年の作品である。主演はどちらも高峰秀子。

一つ目の「女が階段を上るとき」は、銀座のバーの雇われマダムとなった女の、報われない物語。

自分の身に置き換えられる部分も多々あり、何とも言えない気持ちになった。

マネージャー役の若者が仲代達矢だとあとで知ってびっくり。全然わからなかった。

会話のひとつひとつが念入りに練られていて、それを演じる役者も凄いと思った。

客の会話なんて銀座そのもの。今でもあまり変わらない。

ヒロイン圭子は、水商売に翻弄されながらいつか諦観を見出して行くが、エンディングも救いようがなくて、見終わるとがっくし来た。やはり水商売女は幸せになれないのか。どうもさか本のママが重なってしまった。

しかし、絶妙な、素晴らしい名画である。

ぜひ観てみてください。「女が階段を上るとき

 

もう一つは「女の座」。こちらは、姉妹兄妹嫁夫が入り乱れ、東宝オールスター、実力派の女優陣が多数出演した大家族ドラマ。

これも、それぞれの家庭の細かいエピソードまでが微に入り細に入り描かれていて、飽きさせない。

111分とは思えない盛りだくさんな内容なのに、物語は淡々と進んで行く。これは小説など書くのにものすごい勉強になると思った。

24作品全部観たいような気もするが(パスはお得な5千円)、とりあえず7/6からの「乱れる」と「放浪記」の2本立ては観るつもり。全部主演が高峰秀子。

「乱れる」は若かりし頃の加山雄三が相手役らしい。仲代達矢もわからなかったから、加山雄三もわからないかも。

とにもかくにも、昭和っていいよな。

ホームドラマの縁側つきの家、サザエさんちみたいな家に憧れる。

わたしが家を建てるなら、ザ・昭和の家だな。ガラガラっと引き戸の玄関で、三和土があって、廊下があって。

床の間には掛け軸と生け花を飾るのだ。

同時に同じお客さまからいただいた、「逝きし世の面影」という本を読んでいるが、日本は本当に素晴らしい文化を持っている(いた)。これを少しでも継承したい。とか言って、自分の日常にある文化的習慣なんて、神棚を祀るくらいしかないけど。

今回この映画を観て、改めて日本人の芸術性の高さも再確認できた。

日本を好きになるためにも、いろんな人にこの日本の名画を観て欲しいと思った。

銀座シネパトス「名画座宣言」

 

 

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